「稼働表を出してください」と言われて検索すると、シフト表や勤務表の作り方ばかりが出てきます。
検索エンジンが同じ意味の言葉だと判断しているらしいのですが、実際には作る人も目的も違う書類です。毎月これを出す側として、稼働表が何なのか、何を書けばいいのか、どう作るのが楽なのかを一度まとめておきます。
稼働表とは
稼働表は、働いた本人が契約先に対して「いつ何時間働いたか」を報告する書類です。
常駐エンジニア、SES、業務委託、フリーランスの準委任契約で月末に提出するもので、月の稼働時間がそのまま請求額の根拠になります。契約書に「精算幅140〜180時間」のような条件があれば、その判定に使われるのもこの表です。
呼び方は現場によって違います。
- 稼働表
- 稼働報告書、稼働実績報告書
- 作業報告書、業務報告書
- 勤務報告書、勤務実績表
- タイムシート
名前は違っても中身はほぼ同じで、日ごとに開始・終了・休憩・実働を並べて月の合計を出します。
勤務表・シフト表・勤怠表との違い
似た名前の書類は、誰が誰のために作るかで分けると分かりやすいです。
| 書類 | 作る人 | 読む人 | 目的 |
|---|---|---|---|
| 稼働表 | 働いた本人 | 契約先(請求相手) | 実績の報告と請求の根拠 |
| シフト表 | 店長・管理者 | スタッフ | これから誰がいつ入るかの割り当て |
| 勤務表 | 管理者または本人 | 会社の人事・労務 | 予定または実績の記録 |
| 勤怠表 | 会社のシステム | 人事・労務 | 出退勤の打刻記録、給与計算 |
シフト表は「これから」の予定で、稼働表は「終わった」実績です。向きが逆なので、稼働表を探している人がシフト表の作り方を読んでも何も得るものがありません。
勤務表は予定にも実績にも使われる言葉なので、検索すると両方が混ざって出てきます。ややこしいのはここです。
稼働表に書く項目
最低限あればよいのは下記の5つです。
- 日付(曜日があると先方が確認しやすい)
- 開始時刻
- 終了時刻
- 休憩時間
- 実働時間(終了 − 開始 − 休憩)
現場によって追加で求められるものが下記です。
- 作業内容(案件名やタスク名。1行で足りることが多い)
- 月の合計実働時間(精算幅の判定に使う)
- 稼働日数
- 備考(休暇、時差出勤、深夜対応の理由など)
- 承認欄(先方の担当者印やサイン)
作業内容の欄は詳しく書くほど良いわけではありません。先方が見たいのは何の案件に時間が使われたかで、コミットメッセージを全部並べても読まれません。案件名かプロジェクト名を1つ書けば足りる現場がほとんどでした。
テンプレート
そのままコピーして使える形です。Excelやスプレッドシートに貼れば表になります。
| 日付 | 曜日 | 開始 | 終了 | 休憩 | 実働 | 作業内容 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 9/1 | 月 | 9:30 | 18:30 | 1:00 | 8:00 | ○○案件 API実装 |
| 9/2 | 火 | 10:00 | 19:00 | 1:00 | 8:00 | ○○案件 レビュー対応 |
| 9/3 | 水 | 休暇 | ||||
| … | ||||||
| 合計 | 160:00 | 稼働日数 20日 |
Excelで作る場合、実働の列は =終了-開始-休憩 を入れて、表示形式を [h]:mm にしておくと24時間を超える合計も正しく出ます。h:mm のままだと合計が24時間で一周するので、ここだけ注意してください。
タブ区切りのテキストが欲しい場合はこれをコピーして貼ってください。
日付 曜日 開始 終了 休憩 実働 作業内容9/1 月 9:30 18:30 1:00 8:009/2 火 9:30 18:30 1:00 8:00作り方は3通り
1. 月末に思い出して手で書く
一番多いやり方で、一番つらいやり方です。私は常駐先に稼働報告書を出していた頃、これを月締めのたびにやっていました。
30日前の自分が何時に始めたかは覚えていないので、カレンダーやチャットを遡って1日ずつ復元することになります。しかも請求に直結するので適当には書けません。毎月やっているのに毎月同じだけつらい、というのがこの方法の一番の問題です。
2. 毎日Excelに記録する
上のテンプレートを月初に用意して、毎日退勤時に開始・終了を書く方法です。
続けば楽ですが、1日サボると1に戻ります。忙しい日ほど書き忘れるので、月末に開けたら半分空欄ということが起きます。
3. すでに残っているログから作る
Slackの投稿時刻、GitHubのコミット時刻、JiraやBacklogのチケット更新時刻は、働いていれば勝手に残っています。ここから日ごとの最初と最後の活動を拾えば、開始と終了の推定値が出ます。
これを自分用に作った経緯は前の記事に書きました。コミット履歴だけだと月9時間にしかならず、Slackを足して深夜作業の扱いを直して、ようやく実態に近づいたという話です。
そうしてできたのがこれです。
Slack / GitHub / GitLab / Backlog / Jira / OpenProject / Redmine / Googleドライブの活動時刻から日別の開始・終了・休憩・実働を推定して、上のテンプレートと同じ形のExcelで出します。過去の月にも遡れるので、月末に思い出す作業がなくなります。今月と先月分は無料です。
ログから作る場合、出てきた数字をそのまま出さずに目で確認してから提出するのが前提です。深夜に1コミットしただけの日が「実働1時間」になるなど、機械的に出すと変な行が混ざります。下書きは機械が作り、直すのは本人がやる、という分担がちょうどいいと思っています。
書くときに迷ったところ
自分が迷って先方に聞いたり調べたりしたところです。
休憩は必ず1時間にするのか。契約や現場の慣習によります。実態が45分なら45分と書いて構いませんが、先方の勤務規定と揃えておくと確認で止まりません。
深夜や休日に作業した分はどう書くのか。その日の行に普通に書いて、備考に理由を添えます。深夜割増や休日単価が契約にある場合は、区別できるように列を分けるか備考で明示します。日付をまたいだ作業は、暦日で切らずに前日の続きとして1行にまとめたほうが読む側も楽です。
15分単位に丸める必要はあるのか。契約で決まっていなければ不要です。丸める場合は月の合計ではなく日ごとに丸めるのが一般的で、切り上げか切り捨てかは先方と揃えます。
提出形式はExcelでないとだめなのか。指定がなければExcelかスプレッドシートが無難です。先方に指定のテンプレートがあるなら、そこに日別の数字を貼り込む形になるので、自分の表は貼りやすい並びにしておくと楽です。
まとめ
稼働表は本人が契約先に出す実績報告で、シフト表や勤務表とは向きが逆の書類です。必須項目は日付・開始・終了・休憩・実働の5つで、合計と作業内容は現場次第。作り方は「思い出す」「毎日書く」「ログから作る」の3通りで、楽なのは後ろほどです。
検索してシフト表の作り方にたどり着いてしまった方の役に立てば幸いです。